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ワッツマフィン

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ワッツ

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担当者名和田諭彦
住所大阪市中央区徳井町2-1-15徳井町ビル2F
電話番号
大阪メトロ最寄駅谷町線谷町4丁目 徒歩7分
最寄駅堺筋線堺筋本町 徒歩8分
営業時間12:00-16:00 /18:00-23:00
比較的空いている時間帯14:00〜16:00

谷町四丁目駅近辺に、マフィン店があるのをご存知だろうか。「マフィン屋さん」と聞くと、かわいらしくてポップな店内で….と想像しがちだが、店内には重低音の音楽が響き、ボードゲームや映画関連のアイテムで溢れたなんとも不思議な世界が広がる。店主の個性や「好き」がぞんぶんに詰め込まれた空間は、秘密基地を想起させてなんだかワクワクする。店主のワッツさんが繰り広げる“ワッツワールド”に足を踏み入れてきた。


なぜマフィンを販売するようになったのでしょうか?

「きっかけはお土産にもらったマフィンでした。甘いものは好きだったけど、僕にとってマフィンって、正直気にも留める存在ではなかったんですね(笑)でもいざ食べてみると『あ、マフィンってこんなに美味しいんや…』と衝撃を受けたんです。当時は大阪にマフィン専門店がなく、マフィンを作り始めました。僕は凝り性なところがあるので、どうせ作るなら美味しいものを。とこだわって作ったものを彼女や友人に食べてもらっていたんです。美味しい美味しいと好評価をもらえて、そのときから手応えを感じていました。

その頃やっていたバンドの物販でCDの横でもマフィンを販売したら、それも意外と売れて(笑)。そこで食べてくれた方がイベントを開催するということで、『このマフィンを出してもらえないか』とお声がけいただいて出店したらそこでも売れて。『これはいけるんちゃうん?』と思ったんです。

元々、将来飲食店をやりたいという気持ちはあったので、このマフィンでやっていきたいなと思い『ワッツマフィン』として8年前に始めました。」



マフィン以外にも可愛いカレーなどお食事もありますよね。夜遅くまで営業しているとお聞きしました。

「マフィンや焼き菓子を求めてきてくださる方がメインですが、この辺りで夜7時以降に営業しているカフェはあまりないので、お酒を飲んだ後にちょっとお茶したい、なんて方もよくいらしてくれますね。」

マフィンをメインに扱うカフェでありながら、スパイスカレーやサンドイッチなどフードメニューも充実。加えてカフェやスイーツ専門店は早々に店じまいしてしまう印象がある中で、夜が更けても受け入れてくれるお店は重宝したいところ。





お父様の影響で映画の世界に足を踏み入れたと語るワッツさん。「当初は女性ウケしそうなものが良いかなと思い、内装は真っ白で綺麗な感じを構想していました。でも、お店にずっといるのは僕だし自分の好きなものに囲まれる方が気持ち休まるかなと」。店内も映画カルチャーにまつわるアイテムやビラで埋め尽くされ、無類の映画好きが窺える。


印象に残っている作品や、好きなジャンルはありますか?

「小学生の頃『エレファントマン』を知ったんですけど、怪奇映画だと思って見始めたら全然違っていて。実話に基づいていることが分かり、ただただ辛かったのをよく覚えています。でも同時に胸がぐ〜っと締め付けられてる感覚も生まれて、『映画っていいな』とそのとき感じました。原体験としてそれがあり、今でもそういった切ない映画はずっと好きですね。

あとは思春期ものも大好きで。人って誰しも、なんというか屈折した時間を過ごすと思うんですけど、周りが見えてないのに知った気になっているっていうティーン時代特有の葛藤を描いた作品に惹かれます。僕自身、悶々と考えてた時期があって凄く共感するんですよね。」


映画やボードゲーム、いろんなお話で盛り上がれるお店ですね。

「初めてご来店されたお客さんでもボードゲームを楽しんでくれてたりするので、嬉しいですし僕も勧めがいがありますね。『知らない人に知ってもらう』というのが個人的に楽しくて。

今も毎週水曜日の夜はデザートスプーンというボードゲームカフェで僕とそこのオーナー主催でボードゲーム会をずっと行っています。ボードゲームを介していろんな繋がりが持てるようになってきたので、最近は好きなお酒や料理を持ち寄ってもらって“コラボスナック”を開催し始めました。」



店内はカウンタースタイル。お客さんとの距離が近いからこそ、ワッツさんとはもちろんお客さん同士が仲良くなることが多いのだとか。カウンターにはお客さまが制作されたというワッツさんのアクリルスタンドを発見。「人の縁でなんとか生きていけてます(笑)」謙虚で親しみやすく、造詣の深いワッツさんだからこそ、多くの人が会いに来たくなるしこんな風に愛されているのだろう。

「自分の店というよりは、他のお店のことも知りたくて」と今回の企画を受けてくださった。aeru OSAKAの記事を見て、「このお店いいな」と感じたところに足を運びたいと話してくださった。



映画マニアの方で海外も好き、という方は多い印象がありますが、海外経験はありますか?

「20代ではバンコクへ、30代はバンド活動でベルリンに行きました。

20代のときムエタイに興味があったので、本場のを見てみたくてバンコクを訪れました。当時は空手もやっていたし格闘技を見るのも好きだったんですけど、実際に自分が経験してみた方が見るにしてももっと楽しめるんじゃないか?と思い、ムエタイを生で見たくて現地に観に行きました。色んなことをちょっとずつかじるのが好きだったんです。僕は飽き性ですが、何かに興味持ったらそのままやっちゃうみたいなところがあります。」



これから“かじってみたいこと”は?

「バンコクは一人で行ったんですが、滞在中とにかく誰かにシェアしたくて仕方がなくて、感じたこととかその日あったことを日記にブワーッと書いて、帰国してから友達にたくさん話しました。このときに『自分って一人行動向いてないんやなあ…』と痛感しました。苦手克服というか、何十年ぶりかにまたやってみたいなという思いがあったので、手始めにソロキャンプしてみようかなあと。『OLD JOY』という、旧友二人が野宿して焚き火してってそれだけの淡々としたスローシネマを観たんですけど、それが本当に良くて。それに感化されて、去年お店で仲良くなったお客さんと“焚き火会”をしたんです。今年も焚き火しながらキャンプができたらいいなあと思ってます。」


他にも挑戦したいことはありますか?

「挑戦したいのはドラムです。ドラムも練習したいなと思っていて、遊びではやったことがありますがちゃんと練習してライブをしたことはなくて。


去年知り合った方と毎月一緒にスナックイベントをやっているんですが、その方が企画する“大人が初めて何かをやる”というイベントに参加させてもらいました。大人になったら、なんかやりたくてもやられへんことが多い。そんな大人の抱えるジレンマに着目して、大人が集まってみんなで初めてのことをやったら恥ずかしくないやん!という面白い企画で、僕は初めて人前で女装して、自分の描いた脚本で寸劇をしました。これもさっきの話に通ずるかなと思うんですけど、実際に自分で演じてみることで難しさが分かって映画をもっと楽しめるようになったんですよね。経験してみて初めて見えてくることばかりじゃないかなあ。」




最後にこれだけはお話ししておきたい…!ということはありますか?
「僕は個人でお店をやっていますが、実際のところこれと言ったこだわりは無く芯もないんです。職人になりきれないというか、マフィンはたまたま続いているだけで、いつしかやめてしまうかもしれないし。何かを決めることが自分の首を絞めてしまいそうで、何も決めないことである意味物事が続けられているかもしれません。

そういうスタンスが僕なりのずっと楽に幸せに生きるコツかなと思っています。ブレるのって良くないという風潮がありますけど、ブレてて良いんです!それこそが自分なんですから。

僕もこれから、舵取りしていくように面白そうな方に寄り道して行けたら良いかなって思います。これ面白いからやってみって勧められたら、とりあえず好奇心だけでやってみるとか。」


実は僕が26の時にバンコクに行ったのも、生き方を見つめ直したかったからなんです。ムエタイを見たかったことももちろんありますが、当時の僕はすごく神経質で、なんでも細かく決めないと行動できない人間でした。旅行の計画も細かく決めて、それを周囲にも求める節がありました。それがどんどんエスカレートしてノイローゼ気味になって、それを変えたくてタイを選びました。タイには『マイペンライ(もうどうだっていいじゃないか)』という言葉があり、そういう国民性なんです。その言葉を知って『これだ』と。どうだって良いんだと凄く気持ちが救われましたね。


それもあって、ターニングポイントになったバンコクはまた行きたいですね。屋台をやってる人たちのあの適当な感じが好きなので….(笑)1人でバンコクに行った時もガイドに載っていないところにばかり行っていて、地元の人しか行かない市場とかはすごく面白かったです。」



aeruOsakaを見ている方々にメッセージをお願いします。

「ここはバーだったこともあり中が見えないので、なかなか入って来づらいかもしれないのですが怖がらずに入って来てほしいです!待ってます!」



「ちょっと違ってもいいよね、なんだっていい」初対面なのに、どうしてこんなにも刺さり、温かさを感じるのだろう。包み込まれるような穏やかな雰囲気や、かけてくれた言葉一つひとつにはワッツさんがこれまで経験してきたことや人柄が滲み出ていて、荒れた心に染み渡ってくる。まさにワッツさんは『aeru OSAKA』で“会いに行きたい”人だ。これまでカウンターを挟んで色んな出会いがあり、そのお陰で創り上げられているのだとインタビュー全体を通して話してくれた。ユニークなマフィンをお供に、魅力たっぷりなワッツさんとこのカウンターで映画やこれからの夢、あらゆる方面の“やさしい対話”を重ねてほしい。