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マルホ酒店 九条本店

Who

Hiro

世界のクラフトビールに旅してきました

マルホ酒店スタンプ
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担当者名波々伯部 広章
住所大阪市西区九条南2-16-11
電話番号06-6583-2368
大阪メトロ最寄駅ドーム前千代崎駅 徒歩6分
最寄駅JR大正駅 徒歩8分
営業時間月~金:9~20時 土:9~18:30 日:定休
比較的空いている時間帯

街の酒屋、マルホ酒店さんをみなさんご存知でしょうか?マルホ酒店さんはまるで博覧会のように世界のクラフトビールが並ぶ店。現店主のHiroさんは、“クラフトビール界のキーパーソン”と称されるまでの影響力をもった方なんです。「酒屋」とは一般的に、地域の飲食店や個人のお客さんにビールや日本酒などを卸す場という印象。なぜマルホさんは、酒屋でありながらクラフトビールをメインに扱っているのか、ちょっと気になりませんか?



お店を始めたきっかけを教えてください。

明治末期創業で5代目でこの酒店を継ぎました。そのタイミングで、クラフトビールを並べ出しました。12年ほど前です。それまでは、大手ブランドを取り扱っている街の酒屋でした。

大学生の時に仲良くしていた先輩に『馨和(かぐあ)』というクラフトビールを教えてもらったのが始まりです。店舗での取り扱いが中々無いものなんですけど馨和を置いている店の店主さんを教えてくれたので、facebookで検索してみたらすごく面白そうな人で。たまたま共通の知人がいることがそこで分かったので、すぐに連絡して店主さんを紹介して欲しい、と頼みました。すると、「台湾でその人と飯食うんですけど、行きますか?」って言われて。人生タイミングと運ですし、これって試されてるのかもなあと思い、「じゃあ行きます。」と返したんです。ただ、ちゃんと馨和を飲んでもないのにお会いするのはよくないなと思ったので、飲めるところを探して飲んでみたら「うわ、これは美味い。」と完全にスイッチが入りましたね。それで、翌日すぐに台湾に発ち、うちの酒店でも扱いたいことを伝えました。

当時はまだ大学生だったので少しずつクラフトビールを置き、卒業後は店内の冷蔵庫一台分にクラフトビールを入れ始めました。




元々は、お店にお酒を卸す一般的な街の酒屋さんというイメージが強く残っていたようですね。クラフトビールを置くようになった時のお客様の反応は?

先代のときから来ていただいているお客様には可愛がってもらっていたので、『新しいことやるなら応援してあげよう』という気持ちと『息子の道楽が始まった』という若干呆れた気持ちがあったと思います。

始めたばかりの時はクラフトビールという言葉自体が浸透していなかったので、クラフトビールは普通のビールと何が違うの?という定義を知っていただくという本当に初歩的なところから始まりました。賞味期限が切れたものは自分で毎日飲みながら、それでもひたすら続けていく、という日々でした。




Hiroさんが考えるクラフトビールの魅力を教えてください。

一つはその豊富さですね。普段みなさんが飲んでいるビールの「タイプ」ってせいぜい3~4種類とかそれくらいかと思います。ビールを敬遠する方もいらっしゃいますがその数種類の中の話をしているだけで、世界には数100種類以上あって好きそうなものを提案すると気に入ってもらえたりするんですよ。ビールがたくさんあるように深さやそれぞれのタイプによって歴史に基づいたものがあります。


あとは、作っている人が自由な点ですね。サワーでもハーブやフルーツをいっぱい入れたりするなど、枠に囚われない発想を落とし込んでいるというか。ベースはちゃんと作っているけど、+αの発展的なアプローチをするような自由さがあります。

クラフトビールはそもそも、大手メーカーによる画一的なものではなく、ビールってもっと多様な形で、それが本来のビールでしょという在り方を取り戻そうという流れに基づいて誕生したものなんです。そういった雰囲気は僕も好きですし、クラフトビールが好きだとわかれば国籍問わず仲良くできるのもクラフトビールが持つ万国共通の魅力だと思います。




買い付けで海外に行かれているそうですが、日本ではクラフトビールが浸透していないためでしょうか?

今でも浸透しているかは微妙ですが、海外に行くようになったのは2016年くらいです。当時は国内のクラフトビールシーンのリードをしていこうと、僕たちなりに追いつけ追い越せで頑張ったつもりだったけど、まだまだ海外とは差をつけられていたなと感じた時期でした。日本ではなかなか飲めないものを、僕たちの目利きでしっかり選定し持って帰ってくることで、国内でクラフトビールを作っている人の刺激になり、業界全体にとってもプラスになるんじゃないかと感じていました。


あとは、人気のクラフトビールを入荷するとその日のうちに完売するということが何度かあり、物が右から左に動いているだけのような違和感を感じました。それなら、自分が一からブランディングに携わって、扱いたい商品はこれですって時間をかけてしっかりかけて売って行けるものがいくつかあった方が、自分が理想とするクラフトビールへのアプローチが叶うなと思い、買い付けを始めました。




そんなクラフトビールの存在が日本ではまだ知れ渡っていない中で、どのような情報発信を?

Instagramは当時まだなかったので、メインはfacebookでした。でも、そもそも知らなければ一緒ですし、クラフトビールって検索かけてもうちがヒットすることはほぼなかったです。

なので最初の最初は、純粋にできることやろうということで、近隣で少しでも興味を持ってくれる方がいてくれたらいいなとポスティングしていました。さすがにその時はきつかったのでもう懲り懲りですが(笑)。




元々クラフトビールは扱っていなかったとのことですが、街の酒屋だからこそよかったというところは何かありますか?また、先代からの「マルホ酒店」のスタンスは崩さないようにされているのでしょうか?

クラフトビールを扱っていなかったら出会えなかった人はたくさんいますね。マルホ酒店に多くの海外の人が訪れることもなかっただろうし、東京で「マルホ酒店に行ってみたら?」と言われて来店されたお客さんもいます。大なり小なりうちを認識し評価してくれているのは、クラフトビールだったからこそだと思っています。


昔のマルホ酒店の人間性を継げているかはわかりませんが、基本的な店の形は変えないでおこうとは思っています。昔ながらの酒屋でクラフトビールを置いている店は日本にはあまりないと思うので。

お客さんがうちを独特だと言ってくれるのは、立ち飲みをやっている点ですね。昔からおでんなどの昔の立ち飲みのメニューも出しているので、ずっと立ち飲み目的のお客さんの層もある一方、クラフトビール目的で来るお客さんもいるといった異なる属性の人たちが共存する空間になっているんです。隣の人はクラフトビールが好きな外国人で、その横のテーブルではサラリーマンが大瓶を飲んでいる、みたいな光景がよくあるんですよ。





クラフトビール旅”をされているという情報を得たのですが、そのお話をお聞きしたいです
年に一回行っているのですが、以前は香港・カリフォルニア・スペイン・アイルランド・スイス・フランス・イギリスに行っていました。
出張は一人で行っているのでイレギュラーなことは当然あったりするので、醸造所に行って夜中まで飲んでいたら晩御飯が食べるところがなくなったことやスイスでフランス行きのバスがなくなっていて田舎なのでタクシーが通らないなど、困ったことはたくさんありました。人生初ヒッチハイクするか〜と思っていたら、目的地まで3キロだったんです。平坦な道だろうし、歩いて行った方が早いやろ!と向かってみたら、実は峠を一つ越えないと行けなかったところだったことも…毎回、波瀾万丈な旅になっていますね(笑)。


最後にaeruの方々へのメッセージをお願いします!

クラフトビールを知る、好きになる、そしてめちゃくちゃハマる。そんな風な一つのクラフトビール体験を、僕たちと共創していける場です。クラフトビールを好きになってもらえるようサポートしていきますので、最初の気軽な一歩をうちで踏み出してもらえればと思っています。



クラフトビールという一つのカルチャーを通じて、思いがけない出逢いや世界の広がりがあったと語るHiroさん。「街の酒屋」というオープンかつアクセシブルな業態をアドバンテージに、クラフトビールビギナーからコア層までを広く受け入れる窓口として営まれてきた背景には、クラフトビールをカルチャーとして発信していきたいという思いがあるとのこと。素材、製法、ラベルデザイン、利用シーンに至るまであらゆるコミュニティやカルチャーと密接に関わり、カルチャー同士、あるいは人とをコネクトする媒介としてコミュニケーションを生むクラフトビールは、掘り始めると実はかなり奥が深い。なんとなく知った気でいるだけじゃ勿体ない。マルホで未知なる世界に潜ってみよう。