担当者名 | 松本琴美 |
住所 | 大阪市西区北堀江1-16-27-1F |
電話番号 | 080-7013-5231 |
大阪メトロ最寄駅 | 四ツ橋駅 徒歩4分 |
最寄駅 | 西大橋駅 |
営業時間 | 11:30〜17:00 |
比較的空いている時間帯 |
心斎橋やアメ村から少し離れたところにある四ツ橋駅。ミナミを代表するこの街一帯には独自のスタイルを展開する個性派店から海外からインポートされた気鋭店たちが集い、いつの時代も大阪の最新ローカル・カルチャーを牽引してきたホットなスポットです。
今回ご紹介するのはその一つのBASEさん。「ココロとカラダをいたわるモノだけを届けたい。」オーナーであるKotomiさんはジャマイカ料理からインスパイアされたグルテンフリー&ヴィーガンフードをメインに、お店にはスパイスの良い香りが漂いエキゾチックな雰囲気。日本でもグルテンフリーやヴィーガンへの関心が高まって久しいですが、なぜジャマイカ料理を…? 気になるあれこれ、探ってきました。
お店を始めた経緯を教えてください。
「“自分が食べたいものがあるお店”をやりたくて始めました。うちではおかずが何種類か選べて、なおかつ、スイーツやドリンクも含めたすべてのメニューがグルテンフリーでチキン以外はヴィーガンなんです。
添加物や過度な加工品は個人的に好まないのですが、日本のお店ではあまり扱う食品に配慮がされない傾向があるなと日頃から感じていました。日本でも身体や健康に配慮した安心な料理を楽しめるお店にしたい、と追求した結果、現在の形になりました。
実はこの店を開く前にも、東心斎橋でジャマイカンフードバーをやっていたんです。小さい店ですが、DJブースがあって週末になるとDJの子たちがレコードを持ってきて回してくれていました。店主が女性ということもあり、夜中でも女の子一人で遊びに来られるようなバーだったんですけど、やっぱり夜になればなるほど食べ物を口にするとどうしても身体には負担がかかるし、ジャンクフードやお酒で身体を痛めつけられちゃっている。だからせめて良いものを食べようよ!ということで、女の子がお酒を飲みながらでも負荷なく食べられるヴィーガンサラダやキッシュなどの小ビストロ風なメニューをアテとして出したり、近くのライブハウスからリハ帰りに立ち寄ってくれる男の子たちにはガッツリジャンキーなチキンを出したりと、手作りのガッツリ飯とチョイ飯をニーズに沿って提供していました。」
日本でヴィーガンやベジタリアンフードで気軽に食べられるところって徐々に浸透しつつはありますが、大阪ではまだ多くはない印象です。
「大学時代にロンドンの街に興味があったので頻繁に訪れていましたが、当時から現地ではヴィーガンやベジタリアンに対する理解は当たり前にありました。一方で10年前に日本でお店をやっていたときは、ヴィーガンやグルテンフリーなんて箸にも棒にもかからずで。
大阪って特に粉もんの街なので、グルテンフリーを掲げる私のお店が海外のウェブメディアによく載せられているんですよ。『セリアック』というグルテンに対して強いアレルギーを持つ病気があり、その病気をもつ方たちのコミュニティサイトに恐らく掲載されているんだと思います。日本、特に大阪ではまだ完全グルテンフリーの少ないので、グルテンフリーフードを求められている方々にとってお店探しに凄く苦労されると思うのですが、うちは小麦を一切使わないので、海外の方がよく訪れてくれています。海外からのお客様に助けられている感じですね。
コロナでインバウンド客が一切入ってこなかったんですが、食の自己免疫力とか食事を見直す人が増え、グルテンフリーのスイーツを食べたい新規のお客さんが来てくださりました。ターゲットはニッチですけど、ターゲットが絞られていたからこそ今思えば鳴かず飛ばずだったというか。そのおかげでなんとかうちの店も生き延びることができました。」
ロンドンで過ごしたときの影響なんですね。海外でのご経験についてもっと深堀りさせてください。
「兄が音楽の仕事でジャマイカに住んでいたので、ローカルの音楽は知っていましたがジャマイカ自体に興味を惹かれることはなかったんです。でも、ロンドンで結局自分が好きになるミュージシャン、DJ、バンドとかはジャマイカンルーツだったり、シェアメイトや大家がジャマイカ人で、やたらジャマイカ人に囲まれるので行かないの失礼かなと思い、ジャマイカに2回だけ行ったんです。2回だけね(笑)
やっぱりジャマイカってそこまで安全ではないし、汚いところもある…なんだけど、唯一私の中でジャマイカンフードが刺さったんです。私元々歴史を掘るのが好きで、ご飯が美味しい街の歴史を調べていて。ジャマイカの歴史は、コロンブスの大航海時代まで遡りましたが、現地に行くと教科書通りではないようなことを目にするのが面白く、ますます興味を持ちました。」
ジャマイカンフードのどういったところに刺激を受けたんでしょうか。ジャマイカンフードってあまり馴染みがなくて…
「やっぱり主食が米であることですね。私、元々黒人文化や音楽も好きで、音楽を見ていくと絶対文化にあたるわけ。アフリカの時代背景や黒人の中で起こったオリジナルのムーブメントとカリビアンフードのエキゾチックさが私の中でクリーンヒットしちゃって(笑)。パクチーや魚醤臭いとかじゃないんですよ。アジアとは唐辛子の種類が違うし、直球にピリッとしているんだけど、とっても美味しいみたいな。そこが面白くて家でもよくジャマイカ料理を作っていましたね。」
今も音楽イベントに出店されてるのを拝見しましたが音楽好きが興じてなんですね。
「ずっと音楽・酒と共に生きてきて、フェスやクラブにも頻繁に通っていたんです。子どもができてからは昔みたいに遊ぼうとは思わないけど、自分達のできる範囲のウキウキの中で、“音楽と酒と美味しいアテを”という感じでやりたいじゃない?と思っていて。サステナブル、エコ、ヘルシーを組み込んだものであれば、子連れでもシングルでも来られるし、いろんな人にキャッチしてもらえるなと思いました。心斎橋ビッグステップで開いているオーガニックマーケットはまさにそんな感じですね。」
生活は変化していくけど、楽しむ気持ちは忘れない。工夫していきながら在り方を追求していくその姿は、同じ女性の立場から見ても本当にかっこいいです。
イベント以外にも一般向けに料理教室もしていたそうですが、そのコンセプトとは?
「料理教室のテーマは、手軽に手に入る材料と日本の伝統食材で作る世界料理でした。パスポート要らずで世界旅行にいきましょう、というコンセプトで教室を開いています。
出店のときでも同じコンセプトで、ある日はモロッコ料理をやって、別の日は違う料理をやって、とその時々によってローカル料理を変える感じで。娘が一人立ちしたら、夜はナチュールワインと何かステキなグルテンフリーヴィーガンのアテがある店をやりたいなと構想しています。」
娘さんと海外に行くことはあるのでしょうか?
「コロナが始まる時にタイのパンガンにワークショップで呼ばれていたんですが、ちょうどキャンセルになってしまいました。コロナ前だと2018年に娘を連れてヨーロッパの5つの都市を巡りました。『cook for you project』という名前を勝手に名付けて。自分たちが使う調味料とかスパイスやハーブを持っていき、友達の家の残り物で料理を作る代わりに泊まらせてもらうという内容なんです。」
料理をゼロから作るのではなく、残り物で作るところにKotomiさんの精神がありますよね。ヨーロッパで一体どんな出会いや出来事が待っていたんだろう。海外を楽しむ方法って多様で面白い…!
最近では海外に行く計画を立てているんだとか…次はどのように巡るんだろう。
今までいろんな国を巡ったのでしょうか?
「ほとんどがヨーロッパです。他にもっと行きたいところはあるんですけど、ちょこっといく海外旅行はあまり好きじゃないので行くなら最低でも2~3週間は滞在したくて。ヨーロッパの方が中東やアフリカのいろんな人たちがいて現地に行くのも良いけれど、いろんな人が集まる場所がいいなと。
ヨーロッパって物価が高いから、ベルギーの友達は外国人街に住んでいて、ロンドンの友達はカリビアン、アフリカンコミュニティのところだったり…
イギリスだけど、アフリカ人やジャマイカ人にも触れ合えたり、ベルギーでもトルコとかペルシャ系の人にも会えたりするんです。」
料理で様々なことをされてきましたがこれから何かやりたいことはありますか?
「自分が料理教室をやっていた経験を活かして、飲食店を経営されている方向けのグルテンフリーやヴィーガンお料理のコンサルみたいなものをしてみたいですね。これからインバウンドが増えていくので、特にグルテンフリーの方は食べる場所選びに困ると思うんですよ。ずっと飲食店をやっているけどその視点は苦手かもっていう人がいると思うので、彼らのお店の仕入れメニューを見させていただいてロスが出ないようにそのお店に合うメニューやレシピを考案したいなと思います。
そうすれば、きっと旅行客の方も喜ぶと思うんです。もっと大阪に来ようって、大阪はチョイスがいっぱいあるし安いから良かったよって言ってくれるようになると思います。」
Kotomiさんのヘルシーな視点もそうですが、最小限の努力で最大限のおもてなしを考えているところなど、マインドがとても素敵だと思います。
「その人のポテンシャルを最大限に活かせる方法を見つけることが好きです。フードロス活動もやっているからかもしれませんが、とにかく勿体無いをなくして欲しい。もしその人にやる気があるのならどう勿体無いをなくせるのかを一緒に考えたいし…
私の独りよがりだったとしても、小さな草の根だとしてもやり続けていくと思います。」
最後に、記事を見て来店される方にメッセージをどうぞ!
「旅先の港中継地点になれば良いなと思うし、そこで面白い会話が少しできて、『大阪って楽しいな』と思ってくれたら嬉しいです。」
今日口にしたモノが、明日のワタシをつくっている。
単純なことかもしれないけれど、何かと忙しない現代人はつい見落としてしまいがちです。
いつもの食事だけど、せっかくなら自分のカラダがヨロコぶモノを丁寧に選んであげたい。日々のあれこれに追われ自分自身と向き合うことを怠ってしまう私たちに、BASEさんは大切な気づきを与えてくれました。
様々なバックグラウンドや境遇をもつ一人ひとりに寄り添い、「ベターでハートフル」な料理を提供することですべての方に手を差し伸べるKotomiさん。豊富な経験を糧に、多彩なシーンで活動されてきた彼女だからこそ、織りなす料理にはパワーがあるんです。
ふらっと立ち寄とりたくなる店構えに、つい話が弾んでしまうザ・姉御肌で気さくなKotomiさんですが、英語も堪能なんだとか。国内はもちろん、海外の方でも安心して訪れることのできるBASEに多くの人が惹かれ、“居場所”として重宝される理由をぜひ確かめに行ってみてください!