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はらいそsparkle

Who

西川修平(ジョル)

ここは、肥後橋の小宇宙。

はらいそSparkleスタンプ
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担当者名ジョル(西川修平)
住所大阪市西区江戸堀1-9-13ネクサスヒゴバシ2階
電話番号06-6448-0234
大阪メトロ最寄駅肥後橋駅 徒歩2分
最寄駅
営業時間昼 11:30〜15:00(L.O. 14:30)/ 夜 18:30〜23:30(L.O. 23:00)
比較的空いている時間帯13:30〜14:30/18:30〜19:30/22:00〜23:00

オフィス、飲食店、街並み。全てが洗練された肥後橋駅で異彩を放つ『はらいそSparkle』さん。店主のジョルさんこと西川さんは、音を奏でる感覚で素材を調合するスパイスの魔術師。快活な笑い声&軽快なトークで愛されるキャラクターと、新感覚一品料理で人々を虜にするジョル氏の魅力を探りました。

お店はどのような経緯で始められたのですか?

「東京で広告業界に勤めていたんですが、2011年の震災で被災したときに命の危機を感じました。『いつ死ぬか分からんから、生きているうちにやりたいことをやっとかなあかんな。』と思ったのをきっかけに、自分の店をやりたいという夢が強まり、その後飲食の道に進みました。

間借りで9ヶ月、南船場の飲食店で9ヶ月働いていたんですが、もう波乱万丈で最終的に自分でやっていくしかなくなったんです(笑)。このタイミングで辞めるのはいやだったので、不動産の方にこの物件を紹介してもらいました。

それまではこの街を知らなかったけど、いざお店をやり出してみると、良い街やんって。オフィスと住宅街の半々で、ランチと呑みどっちの需要もあるし、お客さまもマナーが良い方が多い印象です。」

スパイスアテ、創作カレー料理のパイオニアとして名を馳せるジョルさんですが、なぜこの路線でいこう!と思われたのですか?

「うちは『スパイス呑み』で定着してるかもしれないんですが、そこは少し違ってて。”スパイシー〇〇”、”ホット〇〇”といった軽めの辛い料理を食べたらちょっとお酒を飲みたくなるじゃないですか。『ハーブやスパイスが効いたものってお酒進むよね』っていうのをもっと浸透させたい。そのブルーオーシャンをまだ攻めている人が少なかったので、オシャレかつ今風にブラッシュアップすれば、もっと面白くなるはずと確信したんです。」

苦戦したことや、現在挑戦中なことはありますか?

「カレーを頼まれる方って大抵『お水で良いです。』と仰るんです。理由を聞いたとき、『お酒は全然飲むけど、カレーをお腹いっぱい食べたいときはお酒を控えてるんです。』と返ってきたんですよね。タイ料理やメキシコ料理なら、辛くてもお酒と楽しむ方は多いのに、カレーとでは“飲む”がセットにならないようなんです。ああ〜そうなのかと悔しく思った反面、それらとは別のスパイス料理をまだ誰も開拓してないなら、パイオニアになれるんじゃ!?と思い、今も開発に奮闘中です!」

お店づくりで意識していることは?

「雑居ビルの一角、店内は窓がなく暗めの雰囲気でただでさえ入りづらいんでね(笑)。僕自身のキャラも込みで、女性だけでも安心して過ごせるためのルールをきちんと設けたりしているので、最近はそこまで男性色強めな店ではないかなと。

飲み屋でする男女間での悪ノリや下世話な話よりも、人生にはもっとおもしろい話があると思うんです。それこそスパイス料理のこと、最近どんなレコード買ったとか、どんなアーティストが好きだとか。新しいカルチャーやおもしろい人、クリエイティブな“コト”が生まれるのって町の飲食店だと思っているので、そんな“カルチャー発信”をしていく店を目指したいです。」

言葉の節々から、ジョルさんの飲食店に対する熱い思いが伝わってきます。

「30歳手前で脱サラして、前のお店を辞めざるを得なくなったときにはもう32歳。飲食以外に道は考えられなかったんですよね。大変な目にも遭ったけど、やっぱり『飲食店っておもしろいな』って。

奈良の田舎で真面目に過ごし、狭い半径内の限られた人とのコミュニケーションしかなかった。そんな中、難波のバーに足繁く通うようになり、学生以外の色んなバックグラウンドをもった方に出会うんですが、こんな世界があったんや!と知れたのが『飲食店』だったんです。

自分が経験したからこそ、お客さまにもそのおもしろさを体験してほしくて。職場や学校では自分と似た属性の人と関わる分、飲食店では未知のカルチャーの世界や価値観の違う人の出会いを楽しんでほしいです。」

オリジナリティに溢れた料理と世界観。ジョルさんの「創作」のインスピレーションはどこから?

「僕の創作は3つのインスピレーションが軸になってます。そのうちの1つに、“筑前煮ビンダルー”という創作料理との出会いがありました。あまりにも突飛すぎたので発案者の人に尋ねたら、『筑前煮がインドを旅したらどうなるかな。と思って作った。』と返ってきて。そういう発想か…と衝撃を受けてインスパイアされ、『〇〇料理がインドを旅したら〜』という感じで、食の翻訳・トランスレーションをする感覚で料理を生み出しています。」

それでもインスピレーションをカタチに出来るのが凄いです!

「そこは、僕がちゃんと飲食店で修行していない”恥知らず”なことが強みなのかなと思っていて。

飲食界のルールや習ったことに忠実に従ってやらないと、と縛られる分、逆に言えば枠に囚われず自由に料理できると思っていて。

ちゃんと修行を踏んでいたら、組み合わせとか、これは違うよなとか習ってきた事からやろうとしていたかもしれませんが、僕は料理も教わってないし、自分でずっとやってきたので、失敗しても『まあジョルやしなあ。チャレンジするんはええことちゃう?』とお客さまも受け入れてくれるんです(笑)。

でも、これからはちゃんと料理の古典やロジックも学ばないとなと思い、一から基礎を勉強しています。

40歳手前に感じるのは、仕事する限りずっと勉強だなあと。人生は長いし、学び続けることで新鮮な気持ちで仕事に向き合えるんじゃないかなって思いますね。

ただアップデートは大事ですけど、義務的だと窮屈になっちゃうので。もっと楽しく生きる上で、『知ること』が不可欠だと思うんです。美味しいワインのペアリングとか、落語の世界に足を踏み込むとか。研究とか堅苦しく考えるんじゃなく、ただただ出会いを楽しむに尽きるかなと!」

これからの”夢”を教えてください。

「ちゃんと修行して独立している人に対してコンプレックスがあるんです。出来ないことはたくさんあるし、僕は王道にはなれないし。でもだからって、そんな人が飲食したら駄目なのかって言われると面白くないし。こういう変わり種の店がもっと人気になったとき、”正統派店”の人たちにも刺激になって、高め合っていけるんじゃないかなって。

あと、『ジョル』というキャラクターもウリにしていきたい。実は僕、本質的には人見知りなんですよ、こう見えて。盛り上げや喋りは得意なので場は全然回せますが、深い芯の部分に入り込むのはニガテで。

でも38年このキャラでやってきたし、そろそろ自信もってもいいのかなって。このキャラクターを楽しんでもらえるようにもっと発信していきます!(笑)」

『aeru Osaka手帖』を持って訪れる方にひとこと

「見た目はとっつきにくいけど、噛めば噛むほど味が出ますので怖がらずに話しかけてください!!最近観た映画、落語、ライブなどのおもしろいカルチャーの話、語らいましょう!」

飲食店は、無限の可能性を秘めた“小宇宙”だ。ジョルさんのお話は、まるでラジオを聴いているかのような心地良さ。ぜひ”肥後橋の小宇宙”に足を運び、夜な夜なカルチャートークに浸ってみませんか?