担当者名 | 鄭聖基(テイセイキ) |
住所 | 大阪市中央区南船場2-8-1 |
電話番号 | 無 |
大阪メトロ最寄駅 | 長堀橋駅 徒歩4分/心斎橋駅 徒歩10分 |
最寄駅 | – |
営業時間 | 17:00〜25:00 定休日:火 |
比較的空いている時間帯 |
心斎橋駅から約10分、お洒落で個性的な店が集う南船場は、昼は多くの人で賑わい、日が傾き始めると全く別の顔を見せます。
サラリーマン向けの立ち呑み屋?あるいはタバコ屋?という佇まいの看板を裏切るように、扉を開けると一面に広がる異空間。韓国テイストでポップなネオンに込められた思いを、代表の鄭聖基(テイセイキ)さんに取材しました。
お店を始められた経緯を教えてください。
「元々は自営でアパレル業をやっていました。関西のスナップによく掲載されていたので、最初こそ集客はできていたのですが洋服の購買には繋がらなかったんです。人は来ても売り上げは立たない。そんな状態が続いて、12.13年前もう何もかもが嫌になっていたので、ちょっと飲食店やってみるかと、当初軽い感じでシフトチェンジしてみたのですが、それでも厳しくて。これはあかんなということで、『賄いのカレー』を探偵ナイトスクープに応募してみたんです。
そうしたら一気に認知度が上がって、びっくりするぐらい繁盛するようになって。様々なメディアに露出するようになった2015年、自分というキャタクターに価値があればずっと続けられるんじゃ?と気づいたので、YouTubeなどで企画をあれこれとやっていたら関西ローカルの雑誌の目に止まり、特集を組んでもらえるようになってきたんです。
そうやって若いときに上手くいかなかった部分が芽を出し始めたころ、軽い気持ちで始めた飲食店から本格的な味の追求、というフェーズに切り替えて行く必要が出てきました。
そこで、高級焼肉店で働いていた弟に仕込みを任せるようにして僕はマネジメントの方に回るようにし、当時まだブームが来ていなかった“ネオン居酒屋”の先駆けとしてブランディングを仕掛けていき、今に至ります。」
系統の異なる4つの店舗を運営されているていさんですが、集客やブランディングを行う上で大切にされていることを伺いたいです。
「アパレル時代の経験を活かして、より広い層にヒットするよう居酒屋でマーケティングを行っています。
認知度を上げるための施策を考案するだとか、コネクションの広さといったことにはある程度の自負があったので、全てのメニューの売り上げデータを見てお客さまの行動分析を行い、その上でメニューや価格帯を頻繁に変更したりだとか、読者モデルの方やいわゆるインフルエンサーの方にオファーして『ゲストバイト』という試みを行ったりしました。その日のゲストバイトが誰かによって、客層がガラッと変わるんですね。
あとは、『店の名は』という名目で系列4店舗の店主がシャッフルするイベントなんかも行いました。そういうイベントを行う中で、どこかの常連さんになってくれれば、系列店舗で回遊できるようになって全体の売り上げアップが見込める。
やっぱり、僕はアパレル出身という点でもまずスタートダッシュが遅れている。真っ向から勝負しようとするとどうしても追いつけないので、こだわり抜いてる飲食店の方たちと戦っていくには亜流なのかもしれないけど、独自の戦法で戦っていくしかないなと。」
同じ土俵に立とうとするのではなく、マーケティングを駆使したニーズの汲み取りや、キャッチーで想像を超えてくるイベントを打ち出す必要がある。隕石を含める4店舗のトップとして、マネジメントからメニュー考案までマルチにこなすテイさんは、異業種からのインベーダーでありながらその多彩さとアナリティクスで新たな領域を開拓していくパイオニア。
4店舗をマネジメントするとなると、スタッフの方々のベクトルを揃えていくのにも創意工夫が必要なはず。テイさんのDNAはどのように伝えていらっしゃるのですか?
「現場で働く彼らやお客さまのリアクションをきちんと見てすぐ改良する、というように瞬時にPDCAを回すようにしています。週2回のミーティングでは全スタッフの意識の擦り合わせを行い、意思疎通を図れるよう努めていますね。
例えると、自分の子どもや孫までは自分のDNAやエッセンスを割とそのまま注げると思うのですが、それ以降は結構難しいと考えていて。側近のスタッフにちゃんと教えられても、その他のスタッフは表面上だけ学んで本当に伝えたい熱意や想いが伝わってないのでは意味が無い。
一時期、僕が井の中の蛙というか、天狗になってしまっていたときに、運営や店の状態が滅茶苦茶になってしまって、自分の伝えたいことがスタッフに何ひとつ伝わっていなかったんですね。結局自分が他人に施したことは自分に返ってくるってことに気がついて。そのとき、自分が原点に立ち返らなきゃなと考え改め、一から構築し直しました。
常に『自分たちが劣っている』という謙虚さを持っておくことが必要だと思ってます。敷かれたレールを行くのではなくて、自分たちのやり方でお客さんを魅了したい、そして地域No.1の店づくりをしていきたいと、本気で思ってやっています。」
それにしても、なぜ隕石さんでは「蒸し豚」をメインとされたのでしょうか?
「日本の方はあまりご存知ないかもしれませんが、在日韓国人の方って蒸し豚(ポッサム)を食べる習慣があるんですね。ある機会で京都の某料亭で蒸し豚を食べたときに、あまりの美味しさにこれは流行るなと。そこから蒸し豚専門店となりますが、使用する豚ホルモンの仕入れにも相当こだわっています。
というのも、やっぱり『ネオン系の居酒屋』って皆さんもそうかなと思うんですが、雰囲気重視で料理の質や味はそんなに、という所が多いという印象をもたれがちなんですね。だからこそ、料理は手を抜かないし本当に美味しいものを提供できるよう日々努力しています。」
テイさんの信念や譲れないものなどもしあれば!
「働く上で、心身ともに健やかであるべきだと思っています。自分が“良い人”であれば、自分も健やかだし周りの人も健やかで居られる。そういう点で、口から出る言葉にも気をつけています。卑下したり汚い言葉を使ったりするのではなく、良いことを口にすれば、その言葉は息吹を帯びてくるものだと信じています。」
お店づくりをする上で、大切にされてきたことを教えてください。
「4店舗すべてに共通してですが、いかに『異空間を演出できるか』をコンセプトにデザインしています。
仕事とか人間関係とか、ただでさえ日々色々なことがあるから、せめてこの空間に居る間だけでも日常を忘れてもらいたい。なので、極力“リアル”が感じられる要素は排除して、ネオンや店内の装飾などこだわっています。
だからこそ、その空間を演出するスタッフたちにも、“舞台に立っている主人公”になりきって接客するよう伝えています。せっかく異空間に来てるのに、従業員が自分の話をしたりタバコ吸ってたりすると、“現実味”があってお客さまも冷めちゃうと思うんです。毎日なにか『ドラマ』がある場所にしたい。そんな思いで手塩にかけたお店が、訪れてくれた人たちに楽しんでもらうのを見ると、この仕事をやってて良かったと強く感じます。」
aeru Osaka手帖を持って訪れる方にひとこと。
「とにかく一度、蒸し豚とスープを召し上がっていただきたいです。あとシメの料理。これはマストです。『心満たされる時間』をご提供します!」
隕石、絶景、天国、宙泉郷。それぞれの店の由来や繋がりもぜひ聞いてみて。今夜だけは俗世を離れて、みんなでワイワイ酌み交わしながら夢をみよう。